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03 October 2017 / Gourmet

La Rôtisserie d'Argent / ラ・ロティスリー・ダルジャン


ヨーロッパにおいて、最も旧いレストランのひとつといわれる「トゥール・ダルジャン」。

19世紀後期に、オーナーのフレデリック・ドゥレーのレシピによって有名になった「鴨料理」は、世界中の美食家からの賞賛を得る名皿となって、今の時代にも受け継がれています。

レストランの客間がある5階から眺める、ノートルダム寺院の後ろ姿を中心としたパノラマも、一生に1度は目の前にしてみることを焦がれる風景といえるでしょう。

現在は、20世紀にこの歴史的な遺産を受け継いだテライユ家3代目のアンドレが、オーナーを務めています。10年前に父のクロードが亡くなったときは26歳でしたが、37歳となった今、「トゥール・ダルジャン」をしっかりと支えています。


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その「トゥール・ダルジャン」のある同じ河岸の目の前にある、「ラ・ロティスリー・ダルジャン」では、気軽に質の良い「トゥール・ダルジャン」ゆかりの料理がいただけて、おすすめです。


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もちろんこの店でも「トゥール・ダルジャン」が扱う素材が主役。しかも、シェフを務めるセバスチャン・ドゥヴォスは、長年「トゥール・ダルジャン」のセカンド・シェフを務めていた腕の持ち主。店の真髄とともに、美味な料理を出していただけることに間違いないのです。


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私が「トゥール・ダルジャン」の料理で最も好きだったのは、カマスのクネル(魚のツミレ)でした。細かいサイコロ状に切ったマッシュルームの上に、クネルを乗せ、アングレーズソース(卵と牛乳のソース)を流し入れ、オーブンで表面を焼いたもの。

この料理は、店ではもっとも安価でしたけれど、新鮮なカマスをフィレにして作る繊細で上品なふわふわとしたクネルは、フランスで一番と思えるほど、最高に美味しかったのです。


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1年前、「トゥール・ダルジャン」に新しいシェフが就任して、クネルも洗練された料理に改変。それはそれで見事なのですが、今までに作られていたクネルは、「ラ・ロティスリー・ダルジャン」だけの、とっておきのメニューとなりました。

オーナーのアンドレも、日曜日の家族のランチには、必ず、慎ましくもあるクネルを皆で食べたという、幼い頃の思い出が残っているほど。その優しい味は、1度いただいたら、クセになるでしょう。


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鴨料理も見逃せません。もちろん「トゥール・ダルジャン」と同じシャラン地方からの鴨もメニューに記されています。鴨のフィレは、ロゼに焼いてもらって、その繊細な肉質に舌鼓を。もも肉のコンフィも、味わい深い。


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2人でしたら、1匹まるまるのローストを、「トゥール・ダルジャン」と同じ2回にわたるサービスで、経験することができます。本店よりはシンプルですが、味わいは同じように抜群。

また、ポロ葱のヴィネガーソースやエスカルゴ、ローストチキン、さらに季節の素材を生かしたシンプルな料理など、質の良いビストロ料理も、大変リーズナブルな予算で味わえます。


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このロティスリーの隣に「トゥール・ダルジャン」が経営するパン屋「ル・ブランジェ・ドゥ・ラ・トゥール」もあり、提供するパンや、デザートの一部も作っており、こちらも格別。

セーヌ河を目の前に、モダンではあっても老舗らしいサービスとともにパリらしいひとときを味わえる、滅多にない良きアドレスと思います。


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La Rôtisserie d'Argent / ラ・ロティスリー・ダルジャン
19 Quai de la Tournelle, 75005 Paris, France
Tél. : +33 (0) 1 43 54 17 47
>> La Rôtisserie d'Argent Official site



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Written by Aya Ito

食執筆家・翻訳家。立教大学卒。著書に「フランスお菓子おみやげ旅行」、「パリを自転車で走ろう」、翻訳書にジョエル・ロブション著「ロブション自伝」、フランソワ・シモン著「パリのお馬鹿な大喰らい」など。また2016年7月に「パリ、カウンターでごはん」を出版。 日仏バイリンガルで、 食のウェブマガジン&イベントプロデュース“DOMA”主宰運営(2017年7月18日オープン)。2017年8月よりMAG2にて”美食大国フランスから、週刊食関連ニュース”を週刊配信。
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