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09 August 2017 / Other

フラワーパワーでいっぱい!ロワール城のガーデンフェスティバル

お城巡りで有名なロワール地方にあるショーモン=シュル=ロワール城は、フランス最大の国際ガーデンフェスティバル
が開催される場所として知られています。
パリから電車でもアクセスでき、日帰りの遠足にもおすすめ。
今夏のお出かけシーズン、花と緑がいっぱいの場所へ出かけてみませんか。


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ガーデンショーは、毎年4月から11月初旬までの長い期間オープンしていることが特徴。
フランスはもちろん、ベルギーやドイツやイタリアなどヨーロッパの国々、今年は中国や韓国からの参加もあり、厳しい審査を経て選ばれた24組のガーデンデザイナーによってデザインされた各200平方メートルほどのガーデンが、このショーのために期間限定で敷地内に作られます。
来場者は緑のなかを散歩しながら、さまざまな表情のガーデンを楽しむことができます。

今回のショーは「フラワーパワー」がテーマに。
草花は古来から生活を彩り、その美しさや香りで人を魅了し、さまざまな創作活動にインスピレーションを与えてきました。
例えばハーブには料理の素材となるばかりでなく癒しの効用もあります。
さらには人の命を奪う毒を含む植物も。
バラは愛の象徴、というイメージもあるでしょう。
いくつもの顔を持つ花のパワーが、どんな庭を作り出すのか、ちょっとワクワクしてきます。


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ます最初に向かったのは、『鏡の向こう側』というタイトルのガーデン、シダなどが生い茂ったグリーンでまとめた入口の向こう側には...。


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はっと息をのむサプライズ、思わず佇んでいたくなる風景に出会います。
鏡の効果で幾十にも広がる花畑、まさに人をとらえて離さない魅惑の「フラワーパワー」です。
外観と内側をまったく違った雰囲気にしたコントラストの効果を上手に利用しています。

今年はコントラストの効いた見せ方が印象的で、中国から参加のこちらのガーデンも、ちょっと怖いくらいの真っ黒な入口を抜けると、良い香りが漂う、別世界のようなジャスミンのホワイトガーデンが待っていました。


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この白い小さな花は、"ジャスミン革命"と呼ばれる、チュニジアでの自由化運動の波を示唆するそう。
一方で、中国茶の代表格として親しまれてきたジャスミンティーが思い出され、ナショナルアイデンティティーのアピールも感じます。

今年は日本から参加のガーデンはなかったのですが、アジアからはもう一組、韓国とフランスの共同チームがありました。


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『魔女たちの力』と名付けられたこの庭、薬草として利用できるさまざまなハーブを取り混ぜたレッドからパープルをベースとしたパワフルな植栽の向こうに見えるのは、ちょっと怪しい魔女の家。
かつて魔女と呼ばれた女性たちは、薬草で病気の治療を行うなど昔からの知恵で人々を助ける貴重な存在でした。
この庭は自然と人の世界をつなぐ大切な役割を担っていた女性たちと自然のパワーへのオマージュなのです。


こちらのガーデンは、ずばり『インスピレーション』。
画家のアトリエ風のスペースに入ってみると、フレームで切り取られた向こう側の花々は、まるで絵画のようです。


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黄色の小さなひまわりはゴッホの絵など、植栽のコーナーは著名な芸術家たちの作品をイメージして作られており、ストレートな表現が分かりやすいこともあって人気でした。

そして、今のガーデンに欠かせないエコロジカルな視点から着想したガーデンも面白いです。


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ワイルドな草花に覆われたガーデン『フェニックス(不死鳥)』は、立体的な木組みの構造が全体のベースになっています。
素材には日本の焼杉の手法が応用されており、使われた草花は一度火が通って焼け野原になった後に自生してくる丈夫な植物たち。
どこまでも生きていく植物の生命力にフォーカスしています。


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『パピヨネ(フランス語で、蝶のようにあちこち飛び回るという意味)』と名付けられたナチュラルなホワイトガーデンは、アンデルセンの童話『蝶』の話から着想したとのこと。
蝶が好きな花々を集めた植栽、それぞれ植物のフォルムやテクスチャーをより繊細に感じて欲しいというところから、あえてカラフルではない、白一色のチョイス。
ホワイトとグリーンに統一された空間は、爽やかでロマンチック。

フランスといえば幾何学的なフォーマルガーデンを思い浮かべる方が多いのではないかと思いますが、最近の植栽はナチュラルな方向に定着してきている様子です。


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シンプルな水鏡を中心にした端正なしつらいをしたこの庭も、植栽はグラス類などを用いて、ふわりとナチュラルなテイストを入れています。

こちらのガーデンも、足元は公園などでもよく使われているメタルのグリッド使いでシンプルな構成に、ふわりとナチュラルな植栽が素敵です。
また、少しインダストリアルな感じが強くもありますが、このグリッドは土が踏み固められるのを防ぎ、植物の生育を助ける優れもの。


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植物を溺愛する男性が、その植物たちを保護するために石造りのキューブに閉じ込めてしまうという空想の物語の庭もあります。
庭が完成してほどなく男性は世を去ります。
そして、保護されていた植物たちは、種子を飛ばして囲いの外にどんどん広がっていくのです。植物は保護の対象にもなるけれど、自らの力で繁殖していく生命力に溢れる存在なのです。


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ナチュラル・テイストが圧倒的に多いなか、こちらはかなりデザイン性を前面に出して頑張っています。
表は壁一面が垂直なホワイトガーデン、裏側はレインボーカラーのグラデーションをやはり垂直な植栽で作り込んでいます。
今回、目にすることが多かったパープルがかったピンクなどは、モードでも今年のトレンドカラーですね。


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ガーデンショーの会場となっている庭園部分に隣接して、ショーモン=シュル=ロワール城の建物があります。
城内にはサイトスペシフックな現代アートの展示があり、ガーデンだけでなく、アート観賞が同時に楽しめてしまうのも、ここの良いところです。


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今年はお城まわりの植栽にはピンク~パープルを主体に。
ガーデンの植栽もやはりモードやインテリアのトレンドカラーが反映されている点が面白いですね。

駆け足ではありましたが、フランス随一のガーデンフェスティバル、いかがでしたか。
夏の季節はずっとオープンしているので、見に行く時期によって庭の表情がどんどん変わっていくのも見所のひとつ。
会場にはカフェやレストランも完備しているので、爽やかな緑のなかでアーティスティックな休日を楽しめます。
植物のパワーに触れ、花屋さんを覗くのとはまた違った視点で、お気に入りの花やグリーンを見つけてみるのも良さそうです。


>>Le Festival des Jardins au Chaumont-sur-Loire Official Site


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Written by Hiroko Endo

パリ在住、ガーデン・デザイン、庭園文化研究家。ヴェルサイユ国立高等造園学校在学中。
BLOG「フランスの庭から」
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