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13 July 2017 / 食とデザイン

アールヌーボーの内装に潜む、老舗店の魅力「Gallopin / ギャロパン」

あっという間にフランスはバカンスに突入。
それこそ今週から9月3日まで、フランスの学校は休暇となります。
レストランも7月14日の革命祭後から休暇に入りますが、今回ご紹介する〈ギャロパン〉は日月以外でオープンしています。
創業1876年の歴史あるこのビストロは、昨年140年周年を迎えました。
新なる第一歩を踏み出すために、今のオーナーであるマチュ・ブシェ氏が、スペシャリテである『ベル・オロール』という名のパテのパイ包みをテーマに、コンフレリー(友人会)を立ち上げました。
ピエール・エルメ氏やクリストフ・ミシャラク氏など錚々たるメンバーが集い、伝統の継承を誓うというものです。


170711paris03.jpg 『ベル・オロール』という名は、『美味礼讃』の著作でも知られる19世紀の美食家ブリア・サヴァランに遡ります。
リヨンは昔からパイ包みで知られているのですが、ブリア・アヴァランが沢山の肉を入れ、特別に作ったパイ包みを母親の名前クローディンヌ・オロールに因んで命名したそう。
正しい名前は、『オレイエ・ドゥ・ベル・オロール』、美しいオロールの枕の意味となります。
この『ベル・オロール』を〈ギャロパン〉としても、スペシャリテとして出してきたことを誇りに、コンフレリーを立ち上げたのはフランスらしい逸話だと思います。
メニューでは前菜に必ず掲載されていますので、ぜひ味わってみてください。


さて、歴史深いこの店には多くの逸話が残っています。
創業者の名前はギュスターヴ・ギャロパン。
ワインなどのアルコールの卸売商から、この店をオープンすることになりましたが、以前から彼のパーソナリティーには注目が集まっていました。
そのひとつがギャロパンという、彼の名前が今でもつけられているショットタイプのビールグラスです。
ビールは大きなジョッキで飲むのが以前では通常でしたが、ワインのように少量を飲むのが粋としてビールグラスを作ったそう。
店では銀製のギャロパンを用意していました。
1900年に改装した内装は、アールヌーボーのステンドグラスで覆われたもので、今でも残っていて必見。
その美しさには目を見張るものが多く、多くのボワズリーはギャロパン氏がデザインしたものです。


170711paris04.jpg料理も安心していただける、しっかりとしたクラシックな料理ばかり。
質の高さに対してリーズナブルなことも老舗の懐の深さを感じます。
大粒のエスカルゴやアーティチョークの芯に茹で卵をのせて、スモークサーモンで包んだ『ノルウェー風アーティチョーク』。



170711paris05.jpg鰊のジャガイモ添えサラダ、そして『ベル・オロール』の前菜。
さらにエイのバター風味やトロワグロのスペシャリテである、『サーモンのオゼイユ風味』、タルタルステーキなど。



170711paris08.jpgデザートは昔なつかしの『ノルウェー風オムレツ』もあります。
それはフランボワーズ風味のアイスクリームをメレンゲで包んで、キルシュをかけてフランベしていただくデザートです。
クラシック料理を現代にしっかりと伝えながら、現代人の嗜好に合うように質よく上品に仕上げられており、アランデュカスグループが牽引するビストロにも比肩するクオリティではないでしょうか。


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Written by Aya Ito

食執筆家・翻訳家。立教大学卒。著書に「フランスお菓子おみやげ旅行」、「パリを自転車で走ろう」、翻訳書にジョエル・ロブション著「ロブション自伝」、フランソワ・シモン著「パリのお馬鹿な大喰らい」など。また2016年7月に「パリ、カウンターでごはん」を出版。 日仏バイリンガルで、 食のウェブマガジン&イベントプロデュース“DOMA”主宰運営(2017年7月18日オープン)。2017年8月よりMAG2にて”美食大国フランスから、週刊食関連ニュース”を週刊配信。
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