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13 June 2017 / Other

「街に自然を」パリのガーデンショー"ジャルダン ジャルダン"

今年、14回目となるガーデンショー、"ジャルダン ジャルダン"が、パリの中心地であるチュイルリー公園の会場で開催されました。


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このガーデンショーは、アーバン・ガーデニングにフォーカスしていることが特徴で、今年のテーマは「街に自然を」。
12区画のショーガーデンと、小さなベランダガーデンをイメージした20の展示、ナーサリーやガーデングッズ、アウトドアファニチャーなど、カフェやレストラン、ワークショップもあり、ガーデニング愛好家はもちろん、そうでない人も、最新のガーデン演出を体感すれば、ガーデニング熱に一気に火が付きそうなイベントです。


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DP08276.jpg今回の会場で一際目立っていたのは、大きな素焼きの植木鉢で構成された庭でした。
フランスの大御所ペイザシスト、ミシェル・ペナが手がけたもので、フランス庭園園芸ジャーナリスト協会(AJJH)設立50周年記念を祝う庭でもあるそうです。
積み重ねた植木鉢が、少し隙間のあいた仕切りを作り、中央にバーカウンターを備えたおもてなしの場所。
ここで出会う人々がくつろいで交流できるようにと、ほっと落ち着く空間になっています。
ジャーナリストたちのポートレートを入れたおちゃめな植木鉢は実はリサイクル品を利用しています。
さらにミツバチが大好きな植物を集め、彼らにも花蜜のおもてなしを用意した、ビーフレンドリーなガーデンでもあります。
素焼きは今年のトレンドで、最優秀賞を受賞したこちらのガーデンにも、デザインのポイントに使われていました。


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DP08235.jpgグリーンがいっぱいで心地よいオフィス空間の提案というモダンな雰囲気のインテリア、奥にはジャスミンの壁から良い香りが漂います。
外側に多年草にハーブや野菜を混載した、エレガント&ナチュラルとでもいえる上品な雰囲気のガーデンです。
このガーデンでさらに注目すべきは、実はこのボックスで、なんの変哲もないシンプルな箱のようですが、ミツバチの巣箱なのです。
施主自身が講習を受けてミツバチを飼う方法、あるいは、忙しくてそこまで出来ない、またはミツバチは怖い、という方には、専門業者が定期的に庭のミツバチをケアし、ハチミツが届けられるというシステムを用意。
専用アプリを使うと、リアルタイムで巣箱の様子や溜まった蜂蜜の量まで観察できるようになっています。
ミツバチは植物の受粉を行うという、自然のサイクルの中の重要な役割を担っていて、彼らが絶滅した場合、人類はその先数年以上は生きられないだろうと言われています。
シックなガーデンデザインの中に、さりげなく最新テクノロジーを使いつつ、環境問題解決への配慮のアイデアまでが入っている。環境への配慮というのは、もはやガーデンデザインにとって、欠かせない要素になってきています。


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こちらはその名も、ローインパクトガーデン。
21世紀は人と植物が共生する時代、そのためには人間のインパクトを最小限にしようというアイデア。
さまざまなリサイクルの素材を使いつつ、面積の80%はグリーンで覆われています。
植栽は温暖化が進むパリの気候に合わせての提案ですが、シダなどは日本でも馴染みのある植物で、懐かしい感じがします。
黒い壁にはなんと焼杉を利用し、日本の伝統技術も注目されています。


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aDP08304.jpgまた、今年はテラスやベランダを体感できるような高さがあるガーデンが目立ちました。
街の中でガーデンのスペースを確保しようとすると、いかに上手に垂直の空間を利用できるかが重要です。
こちらの庭の構造はスチールパイプが使われており、そのままでは無骨ですが、植物に囲まれて抜け感のあるナチュラルな雰囲気に。
階段を上がると、広めのテラスに、思い思いにくつろげるクッションなど、花や木に混じってテーブルから手の届く場所にミニトマトも植わっています。
テラスの下の空間はまったく異なる雰囲気で、土の香りがする、まるで洞窟のような空間に観葉植物がたくさん繁茂。


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年々、ガーデンもエコロジーやリサイクルへの注目が高まるなか、今年プレスグランプリを受賞したのはこのリサイクルの庭。
廃材と空き地ができたときに、最初に生え始めるパイオニアプランツ、つまり雑草で作られています。
それでいて光の効果が美しいポエティックなシーンができ上がり、池の中で缶ビールを冷やしてみたりと遊び心も満載です。


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DP08241.jpgこちらのビビッドなオレンジやレッドを効かせた空間は、フランプリ(Franprix)というスーパーマーケットチェーンがスポンサードした庭。
生活に身近な、誰もが自由に行き来できる公園のような場所ということで親しみやすさや実用性を重視。
中央のターブルドットでは植木鉢にペインティングや寄せ植えなど、さまざまなワークショップに参加できます。


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DP08063.jpgそして、人気のポタジェ(家庭菜園)にすぐに役立ちそうな、イチゴやトマトの苗やグッズの隣には、ニワトリ小屋の展示まで。
パリジャン向けのセレクトだそうで、なかなかにオシャレです。
それにしても、庭で養蜂したり、ニワトリを飼ったりという発想がデザインに反映される様子は、さすが農業大国、生き物との親和性が高いお国柄でしょうか。


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DP08131.jpg"ジャルディランド(Jardiland)"という大手ガーデンセンターがスポンサーの庭で、カラフルな花々をたくさん使った、かわいくて華やかな庭。
今のライフスタイルを反映する、スムージーのバーカウンターの横には、すぐに活用可能なテラスの一角のイメージ。
明るく可愛らしい、でも甘すぎない色使いには唸ります。


170613paris12.jpgアウトドア用のデザインファニチャーの展示も充実していて、例えば、ポップなパステルキャンディカラーのパーゴラ。

170613paris13.jpgこちらの小さなベランダをイメージしたコーナーは、やはりリサイクル品で、ヴィンテージ感をシンプルに生かした、ざっくりとカジュアルな雰囲気。
パリのガーデニングスタイルの得意とするところです。


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DP08069.jpgその他にも、定番のブロカントや、本格的でありつつも、お洒落なガーデングッズなど。


170613paris15.jpgそして今年は、セーヌ河を見晴らす場所に、日本では人間国宝に例えられるM.O.F.を受賞したエリック・トロンションのレストランも出店しています。

ますます充実してきたパリのガーデンショー、お楽しみいただけましたでしょうか。
ショーの期間は限られているけれど、これからのパリは外のテラスが気持ち良い季節。
機会があればぜひ、公園の緑を散策してみるのもおすすめです。

>>Jardins Jardin aux Tuileries (ジャルダン・ジャルダン・オ・チュイルリー)


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Written by Hiroko Endo

パリ在住、ガーデン・デザイン、庭園文化研究家。ヴェルサイユ国立高等造園学校在学中。
BLOG「フランスの庭から」
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