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11 April 2017 / Other

「ドゥボリュ」で見つけた、春の花たち

新しいタイプのフロリストとしてパリで注目を浴びる30代後半のピエール・バンシュロ氏は、ちょっと変わった経歴の持ち主です。「多くの人に出会い、それぞれのキャリアに寄りそうヘッド・ハンティングの仕事は、とても楽しかったです。でも、その反面ストレスもあって、とても疲れていました。そんな中、自宅のベランダで花にふれる時間が心地よくて...」


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着慣れたスーツを脱ぎ捨て、パリのフラワースクールに通うことにしたバンシュロ氏。短期集中で基礎を身につけ、晴れてブティックをオープンしたのは2013年11月のこと。「ただ美しい店を持ちたくて」と、たったひとりで始めました。場所は、いろいろな文化が混ざり合うパリの9区。パティスリーやカフェ、雑貨屋さんなどが続いてオープンする話題の地区でありながら、昔からあるギター専門店やどこにでもあるような庶民的な食料雑貨店が残っていたり、小さな美術館や庭園があったりと、さまざまなパリの顔が混ざっている下町といった趣です。「いろいろなものがミックスされていて、とてもパリらしいカルチエだと思います。小ぢんまりしていて、どこかファミリーというか、村みたいな感じもあるのが気に入っています」とバンシュロ氏。


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取材に訪れた日。ショーウィンドウには、作られた時代も国も多様なアンティークの器に、バンシュロ氏ならではの自由な感覚で花が飾られていました。小さい子どもの頃から蚤の市が大好きだったというだけあって、「このグラスのスズランは、職人が手で描いている。とても美しくて繊細」「これは、19世紀に新婦の部屋に置かれていた花瓶だったんですよ」などと、いかにも愛おしそうに説明してくれます。

ブティック内には、クレマチスやオレンジ色のフリチラリア、アリウム、リラ、シャクヤクなど、春から初夏にかけて輝きを増す花が並んでいます。春の花と言えばチューリップもありますが、いかにも「ドゥボリュ」らしいと思わせるのは、単色ではなく、複数の色合いがミックスされたオリジナルな柄のものが選ばれていること。色が目新しいもの、花びらに光沢があるものなど、おや?と思うような花々のラインアップは、他のフロリストとは一線を画しています。淡い色のスイートピーだけではなく、日本のものだという、紫のスイートピーも目を引きます。


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オリジナリティーにあふれているのは、花器や花の種類だけではありません。花と花の合わせ方がまた斬新なのです。例えば、ガーベラやカーネーションなど、皆が知っていて、ともすると時代遅れと言われてしまいそうな花に、南国の香りがするエキゾチックな花をミックスする。すると、そこには今まで見たこともなかった世界が生まれます。


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そんな、今までになかったモダンでロマンチックな花の世界は、美意識の高いパリジャンの間、そして業界でも瞬く間に話題に。今では、世界の名だたるメゾンからのリクエストが後を絶ちません。それでも、「予算が少ない若い人やおばあちゃんにも寄ってもらいたい」という信条から、お財布に優しい花やプランターも置いてあるのがこの店のいいところ。「シンプルで、美しくて、ナチュラルな花の世界は皆の手に届くものでないと」という言葉からは、リュクスとチープの垣根を飛び越えて、ただただ花の美しさを愛でる気持ちが伝わってくるようです。


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お店があるのはパリの中心とは言えないものの、トレンドの花が楽しめる、ぜひ訪れたいスポット。運が良ければ、優秀なスタッフ田浦千花子(ちかこ)さんが迎えてくれます。

今年のはじめには、メゾンブランドの都内店舗にてショーウィンドウのデコレーションも手がけたというバンシュロ氏。パリの下町で花開いたキラキラした感受性は、この先、日本をはじめ世界各地に広がっていきそうな予感です。

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Written by Atlan Sayaka

パリ第4(ソルボンヌ)大学でフランス文学を学んだのち、ライターとして活動中。 著書に「薔薇をめぐるパリの旅」(毎日新聞社)『パリのアパルトマンから』(大和書房)、山本ゆりこさんとの共著本『10人のパリジェンヌ』(毎日新聞社)がある。 Blog『アトランさやかのパリ散歩』
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