DES PRÉS デ・プレ

Top

28 February 2017 / Movie

女性たちが活躍!2017年のセザール賞が発表

第42回を迎えたセザール賞の授賞式が2月24日(金)夜に開催されました。今年のポスターを飾ったのはマリオン・コティヤール。国際的に活躍する彼女ですが、最愛のパートナーであるギョーム・カネの監督作品『マイ・ブラザー 哀しみの銃弾』の一場面の姿が選ばれています。


170228paris01.jpg


最優秀作品賞に選ばれたのは『Elle(彼女)』。メガホンを握ったポール・バーホーベンはオランダの映画監督ですが、原作に惚れ込んだプロデューサーからのオファーを受け、初めてフランス語劇に挑戦したスリラーです。ゲーム会社の社長を務める女性が、ある晩、自宅で強姦されてしまいますが、その後も普通に生活を続けながら犯人を探し始めることに。しかし周りの人間関係が崩れ、自身の欲望に目覚めていく物語です。人々の持つ闇の部分を描いた監督の力量もさることながら、今作でゴールデン・グローブ賞を獲得し、米アカデミー賞でも最有力候補の一人になったベテラン女優のイザベル・ユペールの演技は圧巻の一言。貫禄の主演女優賞の受賞でした。


170228paris02.jpg

170228paris03.jpg


監督賞を獲得したのはカナダ出身のグザヴィエ・ドラン。有名戯曲を映画化した『たかが、世界の終わり』は、フランスのトップスター俳優たちが集結したアンサンブル・プレイですが、久々に実家に戻った主役を演じたギャスパー・ウリエルが主演男優賞を受賞。撮影で式に欠席した彼に代わって監督がメッセージを読んだのですが、内容は監督への賛辞の言葉で埋め尽くされていた、という微笑ましいハプニングもありました。そのドラン監督は自身で担当した編集でも賞を獲得しています。


170228paris04.jpg

170228paris05.jpg


今年の授賞式で感動的な瞬間をもたらしたのは『ディヴァイン』の三冠でしょう。パリ郊外に住むロマの娘が麻薬売買の道に手を染めて陥っていく悲劇を描いた今作は、カンヌ映画祭で新人監督の作品に与えられるカメラ・ドールを獲得しましたが、セザール賞でも初長編作品賞を受賞。監督の実妹ですがキャスティングのテストを受けて主演を手にいれたウーヤマ・アマムラは有望若手女優賞、彼女の親友役で作品にフレッシュな風を吹き込んだデボラ・ルクムエナはベテラン女優たちを押しのけて助演女優賞を獲得しました。彼女たちはまだ20歳と22歳。これからどんな映画人生が待っているのか、楽しみです。


170228paris06.jpg

170228paris07.jpg


また助演男優賞は『ショコラ 君がいて、僕がいる』のジェームス・ティエレ。ダンサーとして素晴らしい身体能力を持っていますが、演技力の高さも証明した結果となりました。今作は美術賞も獲得しています。


170228paris08.jpg


有望若手男優賞はベルギーのダイヤモンド取引を舞台にしたスリラー"Diamant Noir(黒いダイヤモンド)"のニールス・シュナイダーに。甘いマスクの美形ですが、今作ではそのイメージを脱ぎ去り、犯罪に手を染める青年を熱演しました。


170228paris09.jpg


またクオリティーの高い作品が集まったアニメーション作品賞には『ズッキーニと呼ばれて』(クロード・バラ監督)に。今作は脚色賞も受賞しています。ドキュメンタリー賞は国際企業による海外移転のための工場封鎖を糾弾する『Merci Patron!(社長さん、ありがとう!)』(フランソワ・ルファン監督)が受賞し、怒りのスピーチを展開。また脚本賞は2015年に亡くなったソルヴェイグ・アンパッシュ監督の遺作『L'Effet aquatique(水の効果)』、撮影賞には美しいモノクロ映像とカラー映像を組み合わせた『Frantz(フランツ)』(フランソワ・オゾン監督)、衣装賞は19世紀末のパリを魅了したロイ・フラーの伝記映画『La Danseuse(ザ・ダンサー)』(ステファニー・ディ・ジュースト監督)、録音賞は海洋学者で多くの記録映画を残したジャン・イヴ・クストーの伝記映画『L'Odyssée(オデュッセイア)』(ジェローム・サル)、オリジナル音楽賞は『Dans les forêts de Sibérie(シベリアの森で)』(サフィー・ヌブー監督)が獲得しました。


170228paris10.jpg

170228paris11.jpg


フランスは他の国に比べて映画界で活躍する女性が多いのですが、今年のセザール賞で作品賞にノミネートされた7本のうち、女性監督の作品が4本あり、監督賞は7名のうち3名が女性でした。また初長編作品賞のウーダ・ベニャミヤ監督はモロッコ、短編賞を受賞したマイムナ・ドゥクレ とアリス・ディオップはセネガルからの移民2世。映画の道に進んだ彼女たちが登場して評価を受ける作品を生み出したことは、これからの世代、そして世界の女性たちにも希望を与えることでしょう。

42e CEREMONIE DES CESAR 2017


DES PRES Paris Column
DES PRES Top page
DES PRES Instagram

Written by Yuko Tanaka

パリ第1大学で映画理論を学び、
現在は映画関係中心の翻訳・執筆・コーディネーターとして活動中。
↑ページトップへ