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28 February 2012 / Art

レティシア・カスタ by ドミニク・イセルマン

ファッション界のトップレベルで80年代から活躍し続けてきた女性フォトグラファー、ドミニク・イセルマン。そして15歳でデビュー後、つねにカリスマ的な輝きを保ちつづけてきたモデル、レティシア・カスタ。

モード界で圧倒的な存在感を示すこの2人がコレボレーションを行い、テルメ・ヴァルス(P・ズントー設計のスパ)を舞台にして生まれた白黒写真33点が、現在マレのヨーロッパ写真美術館で展示されています。

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私はいつも、なぜか男性より、自然と女性のモード・フォトグラファーが好きになるのですが、中でもイセルマンの感性にはもう何十年も前から魅了されています。

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VOGUEをはじめとするモード誌はもちろん、Dior、Hermèsなど数え切れないほどのハイブランドの広告。そしてキーラ・ナイトレー起用の"COCO MADEMOISELLE "から、アンナ・ムグラリスの"Allure"、I・ロッセリーニの"Trésor"まで、誰もの記憶に残る香水広告の多くはイセルマンの作品です。これらの広告を見てわかるとおり、ポートレイトが得意な彼女は、有名作家からスターまで多くの印象的な写真も撮りつづけてきました。

一方、レティシアは数え切れないほど雑誌カバーやモード広告を飾り、Yves Saint Laurentなど大御所デザイナーのミューズとして愛され、最近は映画でも活躍。ママンとなっても変わらず独特のオーラを漂わせています。身長は1.7メートルとモデルにしては小柄ですが、艶やかなシルエットと、驚くほどフォトジェニックなのが彼女の強みでしょう。

そもそもこの2人は15年前に広告の撮影で出会い、イセルマンはレティシアを一目で気に入りました。彼女いわく、レティシアにはカメラと会話を交わす能力があるのだそう。

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さて、このコラボレーションで、イセルマンが撮り下ろしたのは裸のレティシア。
これらの写真を会場で目にしたとき、これまで私が見てきた彼女のモード写真や広告写真とは何かが違うように思いました。純粋な芸術性が感じられるというか...。でも考えてみたら、そうであって当然。なぜって、これは雑誌用でも広告用でもなく、イセルマンの世界が100%そのまま投影されているのだから。そしてレティシアは服もまとわず、メークもせず、イセルマンは撮影用の照明も使わなかったのだから...。
レティシアのギリシャ彫刻のような裸体、生命を感じさせる水、自然光、透き通った空気、そしてイセルマンの眼がこれらの独特で詩的な雰囲気をつくりあげたのです。

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ほの暗い展示室に額もつけられずに並んだ、不純物を排除したような白黒写真。そこにはレティシアの神秘性とイセルマンの貫徹した美意識が透き通って見えました。

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なお展示会と同名の本も出版されています。XabierBarral刊。


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Dominique Issermann Laetitia Casta
Maison Européen de la photographie
5-7, rue de Fourcy 75004 Paris
3月25日(日)まで
MAISON EUROPEENE DE LA PHOTO GRAPHIE official site

Written by Junko Higashino

パリ在住の翻訳家・ジャーナリスト。YSL著『おてんばルル』をはじめとする翻訳、モード&インテリアの取材執筆を行う。『You're so French』の邦訳版、『パリジェンヌ流おしゃれの魔法』をハースト婦人画報社より昨年刊行。
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