2008年にイヴ・サンローランがこの世を去って以来、パリでは彼に関する様々なイベントが催されています。3月にご紹介したイヴ・サンローランの大規模な回顧展は連日長蛇の列ができるほど人気を集めていましたが、とうとう8月末で閉幕。サンローラン・ファンとして次に期待するのは、フランスで9月末に公開される彼のドキュメンタリー映画です。

タイトルは『Yves saint Laurent -L'Amour fou 狂おしい愛(邦題は仮)』。
語り手は、彼の公私にわたるパートナーであったピエール・ベルジェ。
ディオール社時代のサンローラン、2人の出会い、メゾン"イヴ・サンローラン"の誕生から成功まで。ベルジェがサンローランがともに築いた50年の人生について語ります。

同時に、ベルジェの言葉をなぞるように、過去の写真や映像が次々と映し出されていきます。
彼らの美意識の結晶である、世界有数の絵画作品や工芸品コレクション。それらが飾られていたパリのアパルトマン、バカンスを過ごしたまばゆいマラケッシュのヴィラ、プルーストに着想を得たドーヴィルの城館。


サンローランの死後、情熱と思い出の詰まったアートコレクションに、新たな生命を与えるべく行われた2009年のオークション。尊い記憶の断片を1つ1つ空の彼方に散りばめていくように、絵画や彫刻が次々と家から取り払われ、落札者の手に渡っていく様子。

そして、サンローランが受けた喝采の陰に隠れていた苦悩、プレッシャー。ドラッグにアルコール、孤独。
そんなサンローランをつねに傍らで見守りつづけてきたベルジェ。
2人の間で培われた、ありきたりではない、狂おしい愛。

観ているうちに、彼らのプライベートな世界に深くまぎれ込み、世を去ったサンローランへの深い敬愛をベルジェとともに分かち合うでしょう。普段冷徹なイメージのベルジェの、言い表せない何かを含んだ視線と言葉に心をゆさぶられるはずです。
パリ・ファッションウィークに先がけて公開されるこの映画。20世紀を代表するデザイナーに捧げる、まさにオマージュというべき作品です。
フランスでは9月22日(水)公開。
監督:ピエール・トレットン
出演:イヴ・サンローラン、ピエール・ベルジェほか
日本では2011年に公開予定(配給:ファントム・フィルム)