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13 April 2010 / Fashion

イスタンブール・コントラスト by ディーチェ・カヤック

2009年秋から今年の春にかけて、フランスにおけるトルコ年としてグラン・パレやルーヴル美術館で様々な企画展が催されましたが、3月30日(火)、そのグランド・フィナーレとして、デ・プレでも長年に渡ってプレタポルテ・ライン(ピンク・レーベル)を扱っているトルコ出身のデザイナー、ディーチェ・カヤックの2010年春夏オートクチュール・コレクションのインスタレーション「イスタンブール・コントラスト」がパリの装飾美術館で1日だけ特別展示されました。会場にはデザイナーのエチェ・エゲさんの姿も。自ら今回の展示について語ってくださいました。

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イスタンブールはヨーロッパとアジアの交差点として知られますが、「全身を覆い隠すチャドルを着た女性とジーンズ姿の女性が腕を組んで歩いていても違和感のない街」だとエチェさんが語るように、古くからの伝統とエネルギッシュな現代性がミックスした街でもあります。この街が持つこのコントラストがエチェさん自身が「今までで最高の出来」という今回のコレクションのテーマですが、トルコ年を記念して新たに製作された国旗や国花のチューリップをイメージしたドレスなど数点も追加されました。

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エチェさんのアイデアソースはとても幅広く、歴史的建造物からはトルコの歴史を象徴する聖ソフィア大聖堂(現在のアヤソフィア博物館)のモザイクや法衣のスータンや民族衣装のカフタン、トプカプ宮殿に所蔵されているスルタンの秘宝、ドルマバフチェ宮殿の公園の門の装飾、そして近代建築では旧市街と新市街を結ぶボスポラス海峡にかかるガラタ橋の金属的な反射や、新市街に立ち並ぶ高層ビルのアシンメトリーなフォルムから着想を得ています。

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そしてインスピレーションのヒントは更に広がり、前述のチューリップ同様、白とピンクの甘い色合いが可愛らしいトルコのお菓子ロクムや街を飛ぶ交う鳩などもドレスに変身しています。

またイスタンブールは夜の文化も発達した街。この華やかな夜を表現したドレスも何点か。エチェさんは「もしイスタンブールに来るのなら6月がお薦め。みんな明け方までレストランやカフェで楽しんでいますよ」と教えてくれました。
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「コントラスト」というテーマでありながらも、展覧会全体を眺めてみると統一感があるのは、完成度の高い構築的なフォルムと高級素材を生かしているからでしょうか。そして1点1点のドレスに、緻密に計算されたプリーツ、美しいレースや刺繍、そしてイスタンブールのヴィンテージ・アクセサリーからアレンジしたビジューがほどこされています。

イスタンブールで生まれ育ったデザイナーとして、この街を知り尽くし、素晴らしい職人芸を大切にするエチェさん。美しいドレスを見ながら、イスタンブールの文化にも触れることのできる、旅への誘惑を喚起させる展覧会でした。

Written by Yuko Tanaka

パリ第1大学で映画理論を学び、
現在は映画関係中心の翻訳・執筆・コーディネーターとして活動中。
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